あなたが毎日食べている物の中には、体の老化をすすめて、肥満や病気にさせているものがあります。
『食源病』という、いわば食事が原因で起こる病気があるのですが、これが現代の生活に深刻な影響をおよぼしているのです。
ではここで、ダイエットを気にしているあなたに一つ質問です。
あなたは普段どんな食事をされていますでしょうか?
ここではAグループとBグループの2つのパターンをご紹介しますので、どちらか選んでください。
何も考えずに食べていたころの、太っていた過去の好みです。正直にお答えください。
【Aグループ】
主食:白米、白い食パン、フランスパン、うどん、ラーメン
野菜:ジャガイモ、カボチャ、トウモロコシ、さつまいも
果物:パイナップル、ブドウ、柿、バナナ
デザート:アイスクリーム、ケーキ、ジュース、砂糖の入ったお菓子
【Bグループ】
主食:玄米、全粒粉のパン
野菜:ほうれん草、枝豆、トマト、サラダ菜
果物:パパイヤ、イチゴ、グレープフルーツ
デザート:ヨーグルト、ブラックコーヒー
どちらが好みですか? 今までどれを食べていたでしょうか?
では、答えになります。
この質問をした場合、だいたい7割から8割の方がAグループを選びます。
あなたは、AグループとBグループの違いが何だか分かりますでしょうか。
その答えは、『血糖値が急上昇しやすいかどうか』になります。
そして、血糖値が急上昇しやすいのが、Aグループなのです。
なんで多くの人がAグループを選ぶのか・・・ですが、これは単純に考えても「美味しいから」ですよね。
で、その美味しさの秘密が『糖分』なのです。
糖度が高いほど、甘みがあって美味しいのです。
特にストレスを多く抱えている人は、糖分を欲します。
そして、Aグループを好む人は、血糖値が高く糖尿病のリスクも肥満のリスクも上がります。
多少知識があって、ダイエットや健康に気を使っている人はBグループを選びますが、そうでない場合は普通は美味しいAグループを選びますよね。
もちろん、誰だって「太りたくない!デブなんて嫌だ!」と思っているわけですが、Aグループをパッと見ても『太りやすそうな食事』には見えませんよね。
太りやすそうな食事と言えば、脂身たっぷりのお肉とか、チーズ・バターをたくさん使ったコッテリ系のお料理を思い浮かべるはずです。
でも実は、『太りやすい食事』というのは、Aグループのような糖分たっぷりの炭水化物だったのです。
炭水化物を食べると、体に吸収され血液で運ばれる際にブドウ糖になります。これが『血糖値』の糖です。
糖は重要なエネルギーです。脳・心臓・胃腸や筋肉を動かすための大切なエネルギーですが、あまった糖は中性脂肪になって体に蓄えられます。これが太る原因です。
また、中性脂肪として細胞に上手く吸収できない体質の方が、『やせ型の糖尿病』になるのです。
血液中の余った糖が、足先や眼球の毛細血管を詰まらせ、壊死したり失明してしまうという恐ろしい糖尿病になるわけです。
太ってデブになるか、糖尿病になるか、あるいは両方とも・・・
何も良いことはありませんよね。
でも、「美味しいから止められない」という面もありますよね。
毎日質素な食事だけでは寂しいです。
若いときは食べても太らず、病気にもならず、平気だったわけです。
だったら、
その若いころと同じような体質に戻せば良いと思いませんか?
「そんなことできるの?」
はい、もちろんできます!
そのカギは、筋肉量と成長ホルモンの量を増やして(若かった頃に戻して)、代謝を上げてあげれば良いわけです。
大人になった私たちは、加齢と運動(負荷)不足によって、またストレス・睡眠不足によって、成長ホルモンと筋肉量が激減しているのです。
さて、筋肉量と成長ホルモンの量を増や方法はまた別のページで解説いたしますが、このページでは、もう少し血糖やエネルギー代謝について掘り下げて解説していきます。
■糖の代わりに脂肪をエネルギーにして使えばダイエットできる
先ほどのAグループの食べ物が好みだったあなた。
あなたはエネルギー源をブドウ糖に頼っていて、糖質(炭水化物)を食べずにはいられない、『糖質依存症』になってしまっています。
反対にBグループを選んだあなたは、頭脳や肉体に健康長寿をもたらす『脂肪から作られる新しいエネルギー源』をうまく活用しているのです。
この『脂肪から作られる新しいエネルギー源』というのが、
今もっとも注目されている『ケトン体』です。
新しいと言っても人間の体が進化したわけではなく、数百万年も前から使っている機能なのですが、現代人はバランスの悪い食事によって、本来の正しい機能がうまく働いていないのです。
ケトン体をスムーズに作れる体質をよみがえらせることができれば、あなたの頭脳も肉体もより活性化します。ケトン体はそんな夢のようなエネルギー源です。
さて、先ほどのAグループのように、約7割の人はエネルギー源をブドウ糖に頼っていて、血糖値を急上昇させる食品を好んで食べています。
では、なぜ現代人は、そんな食べ物を選ぶことまでして血糖値を上げようとするのでしょうか。
今までの医学で定説になっていたことは、「筋肉・脳・内臓を動かすためにはブドウ糖をとるしかない」と考えられてきました。
ところが、実はこの常識がまったく根拠がない間違ったものだったということが分かったのです。
こんなに大きな勘違いが続いてきた理由は、現代栄養学の基礎ができあがった時代に、私達の食事が穀物・野菜・果物などの糖質中心になっていたせいかもしれません。
ですが今、栄養学の進化によって、どんどん新事実が明らかになってきているのです。
その結果、「エネルギー源となるのはブドウ糖だけである」という常識は、もう過去の古い知識になっています。
■脂肪を分解しケトン体にして使うには
あなたが食事から摂る栄養素の中で、エネルギーを作り出せるのは、脂質・タンパク質、そして炭水化物(糖質)です。
あなたが体を動かしたり、内臓や脳をはたらかせたりするための燃料にできるのは、この三つだけなわけです。
いくら野菜や果物からビタミンやミネラルをたくさん摂っても、それらをエネルギー源にすることはできません。
脂質・タンパク質・炭水化物は、エネルギー源となる物質を作るために、最終的には二つの分子のどちらかに変換されます。二つのうちの一つがブドウ糖で、もう一つがケトン体です。
ブドウ糖以外にも、筋肉・内臓・脳を動かすためにケトン体を使うという第二の選択があることが、最近の研究で分かってきたのです。
糖の循環メカニズム
あなたが白米やパン、麺類など糖質を多く含むものを食べた時は、食後に血糖値が急上昇します。
糖分を摂ると、すい臓からインスリンというホルモンが分泌され、それによって全身の細胞にブドウ糖を送り込みます。そして細胞のほうでは、そのブドウ糖をもとにエネルギーを作るのです(この作用を「解糖系」と言います)。
あなたが糖質をたくさん含んだものをバクバク食べた場合、消費し切れずに余ったブドウ糖は、グリコーゲンという物質に変わって肝臓にため込まれますが、蓄積できる量と時間には限界があり、さらにブドウ糖が余った場合には、インスリンによって脂肪細胞の中に中性脂肪としてため込まれていくのです。
これが太るメカニズムです。
こんな感じで、ブドウ糖だけをエネルギー源にした場合は、5・6時間おきに糖質を摂って無くならないようにしないといけません。
それで「一日に三回食事を摂りましょう」と言われ、常に糖質を補給することが必要だったわけですね。
でも、例えば晩御飯を19時に食べてから夜中の24時に寝たとすると、肝臓の中のブドウ糖がゼロになった状態で眠ることになります。
ですが、睡眠中でも脳や内臓は動かさないと死んじゃいますから、血糖値は一定の値を保たないといけませんよね。この場合に肉体は、肝臓がタンパク質を分解して、アミノ酸からブドウ糖を作り出してエネルギーにするのです(この作用を「糖新生」と言います)。
つまり、結局は人体は常にブドウ糖を作り出していて、エネルギー源としながら脳や内臓を動かしている状態と考えられてきたのです。
でももし例えば、お肉やシーフードなどのタンパク質ばかり食べて、糖質は一切摂らない食事を続けたとすると、肝臓にため込まれている予備のブドウ糖を使い切ってしまうことになりますよね。
そうなった時には、ブドウ糖に代わるエネルギー源として、体の中にある脂肪から肝臓が『ケトン体』を作って、それをエネルギーにすることができるのです。
つまり、ケトン体がスムーズに作れるようになれば、血糖値が低くなったとしても問題はないんです。
ケトン体をエネルギーにして、普段と変わりない活動を続けることができるからです。
そしてそれは、ダイエットに抜群の効果をもたらすことになるのです。
ケトン体を使うメリット
ケトン体をスムーズに作り出せる体質になると、ダイエットに良いのはもちろん、他にもいろんなメリットがあります。
■成人病が予防できる
■アンチエイジングの効果がある
■食欲に振り回されなくなる
■食後のツライ眠気やだるさがなくなる
■認知症の予防や改善の効果がある
とうような、素晴らしい効果が期待できます。
ケトン体にはアンチエイジング効果があります。
その理由は、ケトン体が作られている際には、長寿遺伝子がスイッチオンになっているからです。
アメリカのウィスコンシン大学のアカゲザルを使った研究結果があるのですが、好きなだけ食事を与えたアカゲザルと、摂取カロリー・糖質を30%減らしたアカゲザルを比較したときに、カロリー・糖質を制限したほうが、見た目が若く、肥満や病気になる確率も低かったのです。
この研究は25年間も継続したもので、世界的に有名な研究です。
カロリー・糖質を制限しなかったグループのサルでは、糖尿病や心臓病のリスクが2.9倍で、調査期間中の死亡リスクは3倍になったのです。
糖質・カロリーを制限すると、なんで寿命が伸びるんでしょうか。
実は2010年以降にやっと明らかになってきた、最新の理論なんです。
この発見をしたのは、カリフォルニア大学のエリックーバーデン教授です。
バーデン教授が発見したことは、『長寿遺伝子(サーチュイン3)が活性化することによってケトン体が作られる』ということだったのです。
これはつまり、脂質を燃焼してケトン体を作るために、サーチュイン3の遺伝子が重要な役割をはたしているんですね。
この長寿遺伝子は、私たちの細胞の老化を決定付けるもので、あなたも含めて全ての人が持っています。
でも普段は休眠している状態で、カロリー・糖質を制限するとスイッチが入り活性化するという特性があります。
マウスを使った実験でも、このサーチュイン3が活性化していないとケトン体も生まれないので、反対にケトン体が作られているときは、サーチュイン3も活性化していてアンチエイジングに役立っていることになります。
そして、ケトン体自体がじつは抗酸化物質であるということも明らかになりました。
活性酸素ってよく聞きますよね。
あなたの肉体の細胞に炎症を起こし老化させ、ガンや動脈硬化などを引き起こします。
「健康のために野菜や果物を食べよう」とよく言われますが、それらに活性酸素を無害化させる抗酸化物質が豊富に含まれているからです。他にも、緑茶や玄米・大豆なんかも「抗酸化ポリフェノールが入っているから体に良いよ」なんて言われます。
活性酸素というのは肝臓で発生しやすいのです。肝臓は体内の毒素や老廃物を処理する役割がありますので、活性酸素が体内に増えると肝臓がフル稼働して疲弊し、肝機能が低下して疲れやすくなります。(お酒やタバコがさらに追い打ちをかけます)
活性酸素は他にも悪さをします。お肌のシミ・ソバカスが増えたり、血管がつまりやすくなって脳梗塞や心筋梗塞のリスクが非常に高くなります。
でも、ケトン体が作られている間は、それらの活性酸素による害を抑えることができます。
ダイエットのほかに、老化防止、ガンや動脈硬化などいろんな病気の予防に役立つわけです。
また、ケトン体の良さは日常でも実感できます。
ケトン体で、過度な食欲やイライラなどから解放されるんです。
ふだん炭水化物をたくさん摂っている方は、エネルギー源をブドウ糖だけに頼ることになるので、血液中や肝臓にため込まれたブドウ糖を使い切ってしまうとガス欠状態になるわけです。
こうなると、イライラしてお腹が減って何か食べたくなったり、寒気がしたり体がだるい、集中力が低下する、怒りっぽくなるといった症状が出ることがあります。
そして実は、糖分の摂取は中毒性・依存性があって止められなくなる特性もあります。
これらの症状は、血糖値が下がり過ぎたことによって起こっています。
そこで砂糖の入った甘い物や、ご飯やパンなど糖質を含むものを食べると、これらの症状が一旦おさまるんです。
そんな現象があるものですから、「集中力を高くしたりバリバリ仕事をこなしたい時は糖質をとったほうがいい」なんて言われていますが、それは間違いなのです。
エネルギー源としてブドウ糖だけを頼ってしまうことで、血糖値が乱高下しているわけですから、食欲が異常に高まったり集中力が途切れてイライラしやすい・・・というふうに振り回されてしまうのです。
でもそこでケトン体を活用できるようになれば、血糖値の変化が穏やかで、食欲や感情や集中力も安定するのです。
あなたは食事した後に、強い眠気におそわれることがないでしょうか。
食後1時間くらい、眠くてボーツとして何もできないことはないでしょうか。
実は、この食後に強い眠気が起こる現象は、『機能性低血糖』という状態なのです。
機能性低血糖というのは、糖質をたくさん摂ったあとに血糖値が急上昇して、それを下げるためにインスリンがたくさん出た結果、今度は血糖値が急低下して低血糖になってしまう現象です。
そしてその瞬間は同時に、『太っている』ということでもあります。
食後にものすごく眠くなるという人は、エネルギー源を炭水化物からケトン体に切り替えれば、悩みが解放されることになります。仕事でも何でも、集中力高くバリバリこなすことができます。
さて、ケトン体についてメリットを色々お話ししてきましたが、脂肪を分解してエネルギー源になるのでダイエットに良い。さらに、体内の老化や病気まで防いでくれる。ということですから、本当にすごいですよね。
あなたの身体には、こんなにすばらしいケトン体を作るシステムが備っているんですから、ぜひ使っていただきたいのです。
それを使える体質にするには、これからご紹介するダイエット法が最適です。