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過食症は、克服できる。私が編み出した医師いらずの治し方を教えます。

インターネット上で、時折「過食症を克服したいが、食べるのを止められない」という書き込みを見かけますが、たいていの場合「暇だから食べ過ぎるのだ。暇な時間をなくしなさい」などと的外れなアドバイスがされています。

すると摂食障害の人は自責傾向が強い人が多いため、「やはり意志が弱いのですよね。もっとがんばります」などと返信しています。

しかし、過食症は意志の力で克服できるような病気ではないのです。この質問者のような人たちがさらに自責傾向を強めて、苦しい思いをしているのではないかと思うと、歯がゆい思いでいっぱいになります。

そこで今回は、私が過食症を克服した際に効果があった方法についてお話しします。この記事が悩んでいる人の目に止まり、救うための助けとなればうれしいです。

私と過食症との長い闘い

私の過食症は、年季が入っています。初めて過食をしたのは、小学校5年生のときでした。中学校の受験勉強のストレスを、こっそり買ってきたクッキー1箱を、夕食後に親に隠れて自室で一気に食べることで晴らしていました。

「決まった量しか食べてはいけない」と、親からきつく言われていたお菓子を好きなだけ食べる行為がもたらす開放感は病みつきに。

やがてほかのお菓子も買い込んで食べるようになり、「ストレスを感じると食べてまぎらわす」という方法が私のなかに定着しました。

吐くことはできず食べる一方だったため、太るのがいやで、毎回「これが最後。明日からダイエットする」と思いながら過食していました。

しかしいざ「次の日」になると、食べるときのあの強烈な快感が忘れられず、気づいたらまた食べているのです。

「ああ、また今日も我慢できなかった」と自己嫌悪にまみれながら。

そして、自己嫌悪の量が一定量溜まると絶食などの極端なダイエットをしては、その反動でさらに過食する……というサイクルを繰り返していました。

こうやって、日ごとに自己嫌悪と、太っている自分の外見に対するコンプレックスが膨れ上がっていきました。

1度も過食しなかった8年間と、過食の再発

しかし、過食が一度も発症しなかった期間があります。それは海外のある国で暮らした8年間です。

海外移住は私の人生で初めて自分の意志で決め、計画し、実現できた事柄であり、その充実感は計り知れないものでした。しかし8年後、実家の事情のため不本意ながら日本に帰国。

8年間の海外生活で日本の生活になじめなくなっていたことに加え、「また私の人生を母に邪魔された」という思いから、人生のすべてに希望が持てなくなり、過食症が再発しました。

そう、私の人生には母が深く関係しています。同性だけに、理解できる部分があるだけに苦しくて……母との確執についてはまた後ほどお話ししましょう。

「私は病気かもしれない」とやっと自覚し始めたのは、過去最大に過食症が悪化した5年前です。

仕事のプレッシャーから、毎日仕事が終わるたび「さあ、ご褒美!」と大量の菓子を買い込み、30分ほどで一気に食べるようになりました。「今日で最後」と毎回思いつつ。

しかし「今日で最後」どころか、そのうち、「仕事が終わる→お菓子を買いに行く→一気食い」というプロセスの間は頭が真っ白になっており、食べ終わってからハッと我にかえり、自己嫌悪にさいなまれるようになりました。

「さすがにこれは正常な状態ではない」と思って調べたところ、やはり私の症状は過食症の定義に当てはまっていました。

過食症の定義

過食症は正式名を「神経性大食症」といい、精神的な原因によって食行動に異常をきたす「摂食障害」のひとつです。若い女性の1~3%に認められる疾患で、10代後半〜20代前半に発症することが多いと言われています。

「DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル」によれば、神経性大食症の診断基準は以下のとおりです。

・一定の時間内(例えば2時間以内)に、多くの人が同じ状況で食べるより明らかに大量の食物を摂取する
・その間、過食をコントロールできないという状態にある(例えば、食べるのを途中で止められない状態や、何をどれだけ食べるかをコントロールできない)状態

神経性大食症は、自己誘発性嘔吐や、下剤や利尿剤の誤用をともなう「排出型」と、嘔吐や下剤・利尿剤の誤用をともなわず、絶食や過度の運動により体重増加を防いでいる「非排出型」に分かれます。

摂食障害は、厚生労働省が指定する難治性疾患(難病)のひとつです。「難病」の定義は「症例数が少なく、原因不明で治療方法もわからず、さらに生活していく上で長い間に渡って支障がある疾患」というもの

つまり、意志の力だけで克服できる病気ではないのです。

私が過食症克服のために編み出した方法

私は過食症の克服にあたり、医療機関を受診していません。関連本を読みあさり、いろいろな方法を片っ端から試しました。

そのなかで、実際に私が過食症を克服するのに効果があった方法を紹介します。

まず前提として考えたのは、「過食症には自分の精神状態が大きく関わっている」ということ。これは、過食の症状が8年間の海外生活の間には一度も出なかったことから見ても明らかです。

しかし、過食衝動は体が疲れているときにも起きやすいことに気づいていました。つまり、心理的ストレスと身体的ストレスの両方の原因があることがわかったのです。

そこで、「心理的ストレスと身体的ストレスの両方を食べ物以外で緩和する方法」を探しました。

私の過食症克服法1:MEC食™で糖質依存を克服

過食するときの食べ物はパンや菓子類で、その内訳は100%糖質です。過食が止まらない理由のひとつに、糖質が持つ強い依存性があります。

糖質は、脳の「A10神経系(中脳皮質ドーパミン作動性神経系)」という神経系を刺激します。A10神経系が刺激されると「ドーパミン」という神経伝達物質が分泌され、全身に強い快感をもたらします。

このように脳内で快感を生みだす神経系は「脳内報酬系」と呼ばれ、欲求が満たされたときに活性化する性質を持ちます。

食事のほかに、性行為や麻薬の摂取もA10神経系を刺激します。つまり、糖質は麻薬と同じ脳の回路を刺激するということ。糖質がどれだけ強力な中毒性を持つのかがわかります。

糖質は中毒性があるだけでなく、より多量を欲するようになる性質を持つ

ラットの実験では、糖質はコカインより強く脳内報酬系を刺激することや、糖度10%の砂糖水を与えると摂取量がどんどん増えるという結果が報告されています。

依存性のある物質を常用すると、同じ量の摂取で得られる快感が徐々に減っていくため、以前と同じ快感を得るためにはより多量の摂取を必要とするようになるのです。

ラットの実験がそのまま人間にも当てはまるとは限りません。

しかし、「強い快感を引き起こし、摂取量がどんどん増え、欠乏するとドーパミンが不足するためイライラなどの禁断症状を呈し、その物質を強く渇望する」という点は、過食症の症状そのものです。

このことからわかるのは、糖質の摂取が止まらないのは生理的現象であり、意志の弱さが原因ではないということです。

したがって、麻薬と同じく「物理的に、かつ徹底的に距離をとることしか解決法はない」というのが私の出した結論です。

糖質中毒を克服するために、糖質制限を行うことにしました。実践したのは、沖縄徳洲会こくらクリニック院長の渡辺信幸医師が提唱する肉・卵・チーズ主体の食事法「MEC食™」です。

MEC食™とは

MEC食™とは「肉(Meat)」「卵(Egg)」「チーズ(Cheese)」の頭文字をとって名づけられたもので、この3つの食品を積極的に摂取する食事法です。

基本となるルールは、以下のふたつです。

MEC食™のルール1:1日の基本摂取量は肉200グラム、卵3個、チーズ120グラム

タンパク質・脂質・ビタミン・ミネラルをまんべんなく摂取することができ、かつ入手しやすく、調理のバリエーションも豊富である食材として、渡辺医師は肉200グラム、卵3個、チーズ120グラムを1日のなかで分けて摂取することを勧めています。

この3つの食品をベース量摂取することで、人間が必要な栄養素をほぼ網羅できます。野菜が含まれていないため、ビタミンやミネラルが摂れるのか不安に思う人もいるかもしれませんが、肉や卵にもビタミンやミネラルは豊富に含まれているのです。

このベース量で唯一摂取できないものはビタミンCであるため、渡辺医師は、気になる人は葉野菜を食べるよう推奨しています。

MEC食™のルール2:ひと口あたり30回噛んで食べる

口に食べ物を入れるたびに箸を置いて30回噛む「カムカム30」がもうひとつの基本ルールです。

私たちの体は、脳の視床下部にある「満腹中枢」という器官が刺激されたときに満腹感を感じます。満腹中枢が刺激される方法はいくつかあり、そのひとつは血糖値の上昇です。さらにもうひとつは、胃壁の拡張により迷走神経が刺激されたとき、つまり胃に物理的に食べ物が入ったときです。

よく噛むと、唾液が大量に分泌されます。唾液に含まれる「アミラーゼ」という酵素には、炭水化物をブドウ糖などに分解するはたらききがあります。

よく噛むと炭水化物がすでに糖に分解された状態で胃に入るため、血糖値がより早く上がり、より早く満腹中枢が刺激されます。

さらに、食後20分ほどして脂肪が脂肪細胞に吸収され始めると、満腹中枢を刺激する「レプチン」というホルモンが分泌されます。この点でも、よく噛みながらゆっくり食べることには食べ過ぎを防ぐ効果があります。

よく噛むことには、女性にならではのうれしい効果もあります。頰やあごの筋肉を頻繁に使うため、フェイスラインがすっきりしたという人や、大胸筋が鍛えられてバストアップしたことをブログで報告している人もいます。

MEC食™では、野菜・果物・穀類の摂取は肉・卵・チーズを食べてから

MEC食™ではお菓子や清涼飲料水の摂取はご法度ですが、野菜や果物、穀類の摂取は特に制限されていません。ただし、先に「肉・卵・チーズ」をベース量摂取したうえで、それでもまだ食べたいときには野菜や果物、穀類を食べてもかまわないことになっています。

しかし、肉・卵・チーズをベース量摂取すると満腹になっていることが多いため、自然に糖質の摂取量は減ります。

MEC食™開始2年で糖質中毒を克服

私は、MEC食™の実践を始めてから約2年で、糖質中毒から完全に抜け出すことができました。

初期の頃には糖質の禁断症状に悩まされ、糖質の強い誘惑に負けて、何度も糖質を過食してしまっていました。しかしこの「揺り戻し現象」も、月1回から3か月に1回に、そして半年に1回と、徐々に起こる間隔が開いていき、現在はもうありません

1日の大半を過ごす仕事部屋には神棚があり、果物やお菓子も常にお供えしてありますが、お菓子を見てもいまや何とも思いません。これはすごい進歩です!

私の過食症克服法2:食べる以外の方法で体をリラックス

元・新潟大学医歯学部教授の安保徹氏の著書「免疫革命」によると、食べることはもっとも手っ取り早く副交感神経を活性化する方法なのだそうです。

食べものを摂取すると、消化管が動きます。消化管は口から肛門までひとつながりになっており、人間の内臓のほとんどを占めますが、副交感神経に直接つながっている最大の臓器なのです。

ものを食べると、副交感神経支配の巨大な臓器である消化管が刺激されるため、ストレスの原因を取りのぞくことなく、すぐにリラックスすることができてしまうのです。これでは、根本的な改善は望めません。

交感神経と副交感神経

自律神経は「交感神経」と「副交感神経」から成り立つシステムで、体のほとんどすべての細胞のはたらきを支配しています。交感神経は体の興奮をつかさどり、副交感神経は体をリラックスさせるときに優位になります。

自律神経は、1日のなかで交感神経と副交感神経がゆるやかに交代するリズムを持っています。無意識にはたらく神経であるため、自分の意思で交感神経や副交感神経のどちらかを優位にすることはできません。

しかし、意識的に興奮したり、ゆっくり休息するなどの行為を通して交感神経や副交感神経を優位にすることは可能です。

ということは、「お腹が空いていないのに過食衝動がくるときは、体が緊張をゆるめたがっているのかもしれない」という仮説を立てました。

そこで、「食べる」以外の方法で副交感神経を優位にする方法を考えました。

「食べる」以外で副交感神経を優位にする方法1:バスタブにゆっくり浸かる

リラックス目的の入浴では、少しぬるめの温度(40度ぐらい)のお湯に日本酒を入れ、風呂場の電気を消して暗くし、気が済むまでゆっくりとお湯に浸かります。

ポイントは、ぬるめのお湯にするということ。熱いお湯に浸かると交感神経が刺激されてしまい、興奮状態になってしまいます。

「食べる」以外で副交感神経を優位にする方法2:ヨガをする

ヨガにはさまざまな流派がありますが、私が習ったヨガの基本コンセプトは、端的に言うと「呼吸とストレッチの組み合わせ」です。

息を吐くときに筋肉が伸びやすくなる性質を利用し、呼吸とさまざまなポーズを組み合わせた一連の動きがヨガです。

ヨガではさまざまな呼吸法を使いますが、なかでも基本は、横隔膜を引き下げるようなイメージで大きく息を吸う「腹式呼吸」です。ゆっくりと大きく呼吸することで、副交感神経を優位にすることができます。

また、ヨガには、普段の生活で無意識にとりやすい姿勢とは反対方向へと体を伸ばす動きが多く組み込まれているため、凝っている体がとてもよく伸びます。

体が伸びる爽快感は深い満足をもたらしてくれるため、ヨガを行ったあとには過食衝動は消えています。

「食べる」以外で副交感神経を優位にする方法3:緑の多いところを散歩する

私の家の近所には川があるので、天気の良い日には、川沿いの並木路を散歩しに行くとリラックスすることができます。

水の音を聞き、緑の美しさやその匂いを感じ、川でたわむれる鳥や道端で寝ている猫などを見ていると癒されます。

逆に言うと、それらを見てもリラックスできないときはそれほど「心に余裕がない」ということであり、「緊張の度合いが重症なのだな。気をつけよう」と自分の状態を把握することができます。

私の過食症克服法3:映画を観てβ-エンドルフィンを分泌する

食べものを食べると、脳では「β-エンドルフィン」という神経伝達物質が分泌されます。ドーパミンと同じく、β-エンドルフィンもまた、脳の報酬系に関与する物質です。

β-エンドルフィンは分泌されると気分が高揚したり、陶酔感や幸福感をもたらしたりするため、別名「脳内麻薬」とも呼ばれます。

過食は二重にβ-エンドルフィン分泌を促す行為

β-エンドルフィンは、痛みや疲労、ストレスなどを和らげる目的でも分泌され、モルヒネの6.5倍の鎮痛作用があるといわれています。

「自己嫌悪」というストレスを感じながら過食を続ける状態は、「食べる」という行為からくるものと「罪悪感」というストレスを緩和する目的の両方の面でβ-エンドルフィンの分泌が起こるため、脳の報酬系を強く活性化する行為です。

それならば、過食衝動が起こったときには「食べる」以外の行為でβ-エンドルフィンを出せば良いと考えました。

映画で感情を意識的に大きく揺さぶることでβ-エンドルフィンを分泌

β-エンドルフィンは、きれいなものや気持ちのいいものを見たり聴いたりしたときに分泌されます。また前述したように、ストレス状態下でも分泌されます。

このふたつの条件を一度に満たすシチュエーションは、「映画を観る」ことです。

評判の良い映画には感動できるものや強い印象が残るものが多く、感情を大きく揺さぶることができるので、観終わった後に深い満足感が得られます。

最近は映画に劣らず良質な海外ドラマも多く存在するため、海外ドラマを観ることもあります。例えばドラマ『24 -TWENTY FOUR-』は美男美女のキャストも多く、ラブストーリーあり、親子愛あり、ハラハラしっぱなしのストーリー展開で、β-エンドルフィン分泌に理想的なドラマでした。

私の過食症克服法4:「安全基地」を作る

摂食障害の原因は「幼少期の母親からの愛情不足」といわれます。

精神科医の岡田尊司医師によれば、赤ちゃんにとっておっぱいを与えられることは栄養を与えられるだけでなく、愛情や安心を与えられることでもあるため、栄養と愛情・安心が結びついているそうです。

通常は、成長し母親から自立する過程で「食べること」と「愛情や安心をもらうこと」を別々の行為として認識するようになります。

しかし、この認識の分化がうまくいかなかったり、安心感が損なわれる体験をしたような場合、人は幼かった頃の状態に戻ってしまい、食べるという行為が愛情を得るための代償行為になってしまうのだそうです。

安全基地がないなら、自分で作ろう

岡田医師によると、愛着が形成される臨界期である生後半年から1年半ぐらいまでの期間に母親との間に揺るぎない愛着の絆を育むことができた子供にとって、母親は「安全基地」となります。

「安全基地」とは、アメリカの心理学者メアリー・エインスワースが提唱した概念で、その子の安全が保証され、安心感が守られる「心の拠り所」のようなものです。

安全基地を持った子供は安定した愛着スタイルを持った大人へと成長しますが、安全基地を持たずに育ってしまった子供は、大人になって愛着障害を抱えるようになります。

しかし、安全基地を持たずに大人になってしまった人は、親以外の安全基地を作れば良いと岡田医師は解決法を提示しています。

私にも、「欠点も含めて丸ごと愛してくれて、どんなことがあっても私の味方である」という友人や知人が4〜5人います。

「無条件に受け入れられる」という感覚が、食べもので得られる満足感とは比べものにならないほど力強い安心感をもたらすと知ったとき、食べもので自分を満たす行為に徐々に魅力を感じなくなっていきました。

過食衝動を引き起こさないために「やってはいけない」と決めていること

過食衝動をやり過ごすための方法とは反対に、「過食のトリガー(引き金)になる」とわかっているため、やらないと決めていることもあります。

過食衝動トリガー防止策1:「自分へのご褒美」を食べ物にしない

余計なものを食べてしまうシチュエーションで最もよくあるのが、毎日の仕事や、大きなプロジェクトなどが終わったあとの「自分へのご褒美」。しかしある日、実は何も「ご褒美」になっていないことに気づいたのです。

中毒性があり、体の栄養にもならず、高確率で過食ループに引きずり込まれることがわかっている糖質を、自分の体に入れることのどこが「自分を大切にすること」なのでしょうか?

本当の意味で「自分を大切にする」ということは、「理想の自分」の位置まで「今の自分」を確実に連れて行ってあげることです。お菓子を食べて一瞬の満足感を得ることではありません。

仕事のあとに「ご褒美」が欲しくなるのは、緊張していた体が緩みたがっていることが原因。前述した「食べる」以外の方法で体をゆるめてあげれば、ほとんどの場合、過食衝動は消えます。

また、コーヒーなど温かい飲み物を飲んで、意識的に「美味しいな」「ホッとするなあ」と感じてみるのもリラックス効果につながるでしょう。

過食衝動トリガー防止策2:ストレス源に近づかない

私の場合、最大のストレス源は母です。彼女なりに一生懸命育ててくれたのだとは思いますが、大人になったいまでも「あなたのためだから」と言いながら支配しようとしてくるのは、耐えがたいものがあります。

過食症の対策として「母親との関係を修復しましょう」と書いてあるサイトなどを見かけますが、それが可能な関係ならそもそも摂食障害など発症していないわけです。

親子だということが不思議なほど性格が正反対な私と母は、歩み寄ろうとした時期もありましたが、いまではお互い「近寄ると傷つけあう」ということを認識しており、物理的にも精神的にも適度な距離を保っています。

過食衝動トリガー防止策3:「自分との約束」を破らない

私が自分で決めたこれらの項目は、言わば「自分との約束」です。長い間「明日からダイエットする!」と決意しても、いざ「明日」になったらまた過食してしまい自己嫌悪におちいってきた私は、もう自己嫌悪することに心の底からウンザリしています。

自己嫌悪はストレスの一種であるため、しばしば過食のトリガーとなります。そして過食するとまた自己嫌悪におちいり、悪循環が始まります。

これ以上自己嫌悪の量を増やさないために、どんなに小さな「自分との約束」も破りません。「少しぐらいならOK」「たまにならいいよね」はありません。約束を破ったら、裏切られる自分がかわいそうだからです。

自分との約束をひとつ守るたびに「私って信頼できる人」と認識できるようになり、自尊心が少しずつ育っていきます。

過食症は必ず克服できます

これらの方法を使うことでm過食をしなくなって、3年が経ちます]。「まだ3年」ではありますが、毎日過食が止まらなかったころを思うと、信じられないほどの進歩です。

当時、私は自分で試行錯誤しながらこれらの方法を見つけましたが、もし今同じ状況に置かれたとしたら、病院に行くと思います。

それは、私のなかに「安全基地」ができたことで、「世の中や他人は信頼できるのだ」という感覚である「基本的信頼感」がつちかわれたため、「専門医は過食症克服のための最良の方法を知っているはず」と信頼できるからです。

医療機関では摂食障害の治療法として、原因となっている心理的理由を探る心理カウンセリングや、必要な栄養素を補うことで低血糖症などを治し身体面からアプローチする栄養療法うつや不安状態が強い場合は向精神薬を用いる薬物療法などが行われます。

過食症は数週間や数か月では克服できず、根気よく自分を癒していく必要がある病気です。

どのような方法を選ぶにせよ、何回挫折しようとも、そしてすぐには良い専門医と出会えなくとも、「過食症を克服したい」という気持ちがある限り、必ず克服することができるということを、どうか覚えておいてください。

【参考文献】『免疫革命』 安保徹 2003 講談社インターナショナル P69、233、267、269

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提供元:    NICOLY



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